ご挨拶
「神より地球の未来を託された生物として謙虚に生きる」
120年前、栃木県奥日光の山中で絶滅したニホンオオカミの最後の遠吠えを聞いた故老が居た。今となってはニホンオオカミの情報は僅かに残る剥製からのみである。
天敵の居なくなったニホンジカはその後飛躍的に増え、生態系のバランスを崩し甚大な被害を我々に与え今日に至っている。
もとは一つの細胞から出発したといわれる生物が現代これだけ多くの姿・生活様式を見せ、尚関係しあっていることを生物多様性と言う。
38億年前の生命の歴史の中で生物多様性の頂点に立つヒト(ホモ・サピエンス)は地球の未来への全責任があると考えるのが自然である。
ヒトが居なくなっても、他の生物は余り不自由なく普通に生活が出来るが、ヒトは昆虫が絶滅すると植物の受粉が出来ず直ぐに食糧難の危機に陥る。一属一種のヒトは今日空前絶後の繁栄をしているが他の生物の命の上にその生活が成り立っていることを忘れてはならない。
アフリカに発祥した人類は5万年ほど前にユーラシア大陸に現れ東に向かい、その延長線上にアセアンの国々・オーストラリア・中国・日本等がある。家族を中心としたヒトの群れは脳の進化と共に共同体へと変貌してやがて国家へと変遷をとげた。国を意識したのも僅か数千年前であり地球の歴史・人類の歴史から鑑みてもついこの間のことである。
翻って私たちのアイデンティティーとは何であろうか?栃木県人?日本人?否、地球人?我々の未来は地球の安全な発展があってこそ保証されるものである。
日本と中国、立ち位置は違っても我々は未来のために今出来ること全てに分別と勇気を持ち取り組むべきである。
文化は「心の足し」、文明は「腹の足し」と言うが、身近な文化・文明大国の日本と中国はその類い稀な長所に気付き大きく目を見開いてお互いを真摯に理解することが大切である。
ヒトは過信ゆえに時折ミスも犯すが、私は神より地球の全てを託された人類はその復元対応能力の高さにより必ずや明るい未来を創造すると信じたい。
栃木県日中友好協会もその一翼を謙虚に担いたいと願っている。
栃木県日中友好協会
会長 白石雄治